劇団スタジオライフが三原順原作の漫画を舞台化!舞台版『はみだしっ子』開幕レポ&舞台写真UP!

  • 2017-11-1

男優劇団スタジオライフが三原順さん原作の漫画「はみだしっ子」を初舞台化。2017年10月20日に東京芸術劇場シアターウエストにて、ついに舞台版『はみだしっ子』が開幕しました(公演は11月5日まで)。今回は、公演初日レポートと舞台写真をお届けします!

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漫画「はみだしっ子」は、1975年に少女漫画雑誌「花とゆめ」に連載され、熱狂的なブームを巻き起こした作品。親に見捨てられて、この世の「はみだしっ子」となった4人の少年たち、グレアム、アンジー、サーニン、マックスがいつの間にか身を寄せ合い、旅をする中で愛を探し求める姿を描いています。

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舞台版『はみだしっ子』のステージ上にただ一つ灯る街灯は、本作の公演ビジュアルに使われている、三原さんが自ら描いた街灯を忠実に再現したもの。階段状になっているシンプルでモノトーンな舞台に照明が当たると、4人の少年たちの姿が浮かび上がります。彼らは「恋人」を待っているという。子猫たちが可愛がって連れていってくれる「恋人」を待っているのと同じように……。孤独な少年たちの内面が浮かび上がる、印象的な幕開きから物語に引き込まれます。

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スタジオライフが三原作品を取り上げるのは、2001年の『Sons』に次いで2作品目。脚本・演出を担当する倉田淳氏が『はみだしっ子』の舞台化を『Sons』上演時から熱望し、今回の上演となりました。本作では、原作漫画の最初の部分にあたる「動物園のオリの中」「だから旗ふるの」「階段のむこうには…」がストーリーの中心に据えられ、少年たちがときにぶつかり、ときにはつながり合いながら、思いを重ねていく様子がきめ細かく描かれています。

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スタジオライフは1996年に萩尾望都の『トーマの心臓』を舞台化して以来、『訪問者』『11人いる!』(萩尾望都)、『OZ』(樹なつみ)『月の子』(清水玲子)『アドルフに告ぐ』(手塚治虫)などを上演する、いわば漫画原作舞台における日本のパイオニア的存在。倉田氏が原作で心を鷲掴みにされた部分をお客様と共有したいということが、スタジオライフでの上演の出発点にあたります。だからこそビジュアルを再現するだけでなく、登場人物たちの心情に焦点を当てて、繊細にドラマを紡ぎ出すことに注力。キャラクターに寄り添い、それぞれの関係性によって生み出される様々な光と影を表現することで、新たな感動を生み出していきます。

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舞台版『はみだしっ子』ではなぜ少年たちが身を寄せ合っているのか、彼らの過去が丁寧に取り上げられています。グレアムは父親から高圧的に扱われ、アンジーは母親に育児放棄されます。サーニンは母を亡くし父親により監禁され、マックスは父親に殺されかけたという過去が。少年たちの過去を丹念に描くことによって、彼らの心の孤独が浮き彫りになり、だからこそ互いに身を寄せ合う4人の関係性がはっきりと見えてきます。

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原作漫画で印象的なのは、少年たちが語る深遠で思索的な言葉。彼らは決して自分たちを「可哀想でしょう」と憐れもうとしません。クールに自分たちを突き放して語る言葉が、読者の胸を打ちます。通りいっぺんの演技では表し得ない深さのある言葉を血の通ったものとするために、キャストたちが深く役柄と向かい合い、真摯に取り組んだ様子が演技からうかがえました。また、原作漫画では少年たちの視点が貫かれますが、舞台では大人たちがリアルな息吹で演じられることによって、大人たちの視点からも物語を見つめ直せたことも新たな発見でした。

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4人の少年たちを一時的に受け入れるレディ・ローズを演じる曽世海司さんの演技にはリアリティがあり、グレアムのいとこのエイダを演じる松本慎也さんがグレアムに対する複雑な思いをにじませて、ドラマを盛り上げる好演を見せています。愛を求め続ける少年たちの心の旅を追った作品の終幕には、舞台に輝く街灯が象徴するように、希望の光が差してくるのが感じられました。
今回は原作の最初の部分の舞台化ですが、連作としてこの続きも上演すればスタジオライフの新たな財産となるはず。4人の少年たちの心の旅をこれからも追っていきたい作品です。

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舞台版『はみだしっ子』は、2017年11月5日まで東京芸術劇場シアターウエストにて上演中です。劇場ロビーでは『はみだしっ子』扉セレクション展を開催。単行本未収録・原画行方不明の絵を中心にセレクトした雑誌掲載時の扉絵や雑誌掲載のイラストコラムをパネル展示。また、当時の雑誌やグッズも展示されています。公演の詳細は、下記informationより公式サイトをご確認ください。
※本作は、TRKチーム、TBCチーム、BUSチームのトリプルキャスト公演になります。写真はすべてTRKチームのもの。
(取材・文/大原 薫  編集/スマートボーイズ)

☆Information

舞台版『はみだしっ子』
公演日程:2017年10月20日~11月5日
劇場:東京芸術劇場シアターウエスト
原作:三原順
脚本、演出:倉田淳
舞台美術:乘峯雅寛

≪公式サイト≫
http://www.studio-life.com/

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