2020-3-21

3月21日より東京・池袋のあうるすぽっとにて、舞台『Dr.コルチャックと子どもたち』が開幕！

今作は、第二次世界大戦下、ユダヤ人迫害の嵐吹き荒れるポーランドを舞台に、子供の保護と教育に全てを注ぎ、200人の子どもたちと自ら運命を共にしたヤヌシュ・コルチャックとその子どもたちの物語。

1995年に劇団ひまわりが加藤剛さん主演で初めて上演。その後、1997年、2001年と上演を重ね、2005年にはポーランド公演、2011年には劇団ひまわり創立60周年事業として上演され、今作は約9年ぶりの再演となります。

主人公のコルチャック役は、今作で脚本・演出を務める栗田芳宏さんと松田岳さん(Wキャスト)が務め、コルチャックと運命を共にしたステファ夫人役に元宝塚の日向薫さん。コルチャックを救うため奔走した友人ネヴェルリィ役に田渕法明さん、ワルシャワゲットー蜂起の若きレジスタンスに石田直也さん、新正俊さんらBSPのメンバーが出演。
また、孤児院の子どもたちには「パプリカ」で大ブレイクした「Foorin」の最年少メンバー、新津ちせさん、「にほんごであそぼ」などで活躍中の川原瑛都さんら、多くの劇団ひまわりの子どもたちが登場。
さらには、1995年の本作初演時に子役として出演をした宮野真守さんが、声の出演として物語を進行し、大塚明夫さんが友情出演(声の出演)を果たすなど、豪華なキャストが揃いました。

公演前日に囲み会見及び公開ゲネプロ(Aキャスト)が行われ、栗田芳宏さん、松田岳さん、日向薫さん、田渕法明さん、石田直也さん、新正俊さん、近藤美鈴さんが囲み会見に登壇。本番を間近に控えての意気込みや見どころを語りました。

（左より）近藤美鈴さん、新正俊さん、日向薫さん、栗田芳宏さん、松田岳さん、田渕法明さん、石田直也さん

栗田　見に来て下さるお客様に、公演をするための責任を感じながら、コルチャックを最後まで演じたい、その気持ちだけです。実際に生きていた人間が発した言葉を我々がしゃっべっているので、そういう意味で演出家としてはどのシーンも一つ一つ心を込めて演出したつもりです。

松田　この作品に出てくる言葉の一つ一つのセリフに、今の状態と過去からの教訓を埋めて、きちんと伝えるような役目をお客様に届けたいです。Aキャストで演じるドイツ軍の大佐は、コルチャック先生側からしたら大きな存在であり、大佐は迫害する側という、それが決して交わらない許せなさという、何か大きな戦争というものを背負って大差を演じています。国の趣向や考え方などいろいろ思うことがありますけど、お客様の心に残さないといけないので、強烈なパンチを与えることが見どころになれればいなと思います。

日向　こういう状況ですので、台本にある「一日一日を大切にしよう」という言葉を大切にみんなでやっていこうと思っています。ステファーという役は孤児院の先生で、子供たちを守っていきますが、時代に翻弄された人々なので、その辺を大切に演じたいです。

田渕　今回の作品は子供たち未来が一つのメッセージとなっています。情勢が不安定な中で人々がパニック状態になって食料品を買い占めるシーンがあるんですが、「あれ？これってトイレットペーパー・ティッシュペーパー騒動と同じだ」というのもあったり、劇を中止にするかどうかのシーンで「今だからこそやるんだ」というセリフがあったりと、今の生きるためのメッセージがいろんなところに散りばめられていますので、そのセリフに耳を傾けて欲しいです。

石田　この作品をやるにあたって、一日一日が当たり前じゃないということを感じながら過ごしていかなければならないんだなと思うことと、未来に伝えることが大切だなと思って、責任感を持って出演させていただきます。僕が最初に台本を読んだとき、子供たちを武装蜂起させて戦わせるというセリフがあって、そんな酷いこと言っているんだと思ったんですが、稽古していく中で、レジスタンスはそうしなければいけない現実とそうして自分たちの人生を切り開くという強い気持ちを持っている人たちだなと思いました。

新　今の平和な中で、こういう戦争の実話を描くというのは、何かすごい意味があると思っていて、そういうのも全部伝えていけたらいいなと思います。あの時代に生きていた若者が「自分たちが変えていかなきゃいけない」という思いを持って、物語の中では唯一子供もいる家族という設定なので、家族愛を見せていきたいです。

近藤　こういう状態なので、強い希望や勇気をもって、お届けできたらと思っています。その時代に生きていたのは、兵士だけでなく女性や子供などいろいろな人たちもいて、それでも強く生きているところを大切にしていきたいです。

Bキャストの公演では、主人公のコルチャックを演じる松田さん。コルチャック役としての見どころを聞かれ、「若輩な自分がどこまで演じられるかという戦いもありますし、自分の体験から呼び起こそうとした時、亡くなったお祖母ちゃんが戦争中だった少女時代の話をしてくれた時があって、『当時は恋をすることも出来なかったの』って言っていたんです。その言葉が凄く耳に残っていて、そんなことがあっていいのかという衝撃がありました。お客様に僕と同じようなハッとするようなシーン、言葉、表情などをお届けすることが僕の使命だと思います」と思い出のエピソードを交えて語りました。

また好きなセリフを聞かれ、日向さんが「『大切なのは子供たちの未来』です」と開口一番飛び出し、誰もが納得の表情を見せると、続けて栗田さんが「考えたこともないけど『先生おしっこ』かな？」とポツリ。すると松田さんが「俺もそうなんです！！」と悔しい表情を見せ、会見場は爆笑の渦に包まれました。

≪ゲネプロ画像≫