2018-2-14

舞台『マリアビートル』が2月14日より東京・新宿の全労済ホール／スペース・ゼロにて開幕します。

数多くの人気作を手掛けた小説家の伊坂幸太郎さんによる人気シリーズ「殺し屋シリーズ」で「グラスホッパー」の続編として描かれ、第7回大学読書人大賞を受賞した「マリアビートル」を舞台化。物騒で個性的な殺し屋たちを乗せた東北新幹線の車内を舞台に、様々な出来事が起こる物語。

≪ストーリー≫
酒浸りの元殺し屋「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた悪魔のような中学生「王子」に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線〈はやて〉に乗り込む。
取り返した人質と身代金を盛岡まで護送する二人組の殺し屋「蜜柑」と「檸檬」は、車中で人質を何者かに殺され、また身代金の入ったトランクも紛失してしまう。
そして、その身代金強奪を指示された、ことごとくツキのない殺し屋「七尾」は、奪った身代金を手に上野駅で新幹線を降りるはずだったのだが……。

開幕前日には、公開リハーサルと囲み取材が行われ、平野良さん、坂口湧久さん、谷口賢志さん、福圓美里さん、小沼将太さん、碕理人さん、若宮亮さん、山本侑平さん、中村裕香里さん、深澤恒太さんが登壇。開幕を直前に控え本番に向けての意気込みを語ってくれました。

(左前列より)坂口湧久さん、平野良さん、谷口賢志さん、福圓美里さん
(左後列より)深澤恒太さん、中村裕香里さん、小沼将太さん、碕理人さん、若宮亮さん、山本侑平さん

平野　もともと「殺し屋シリーズ」が大好きでして、是非舞台でやりたいという思いが強かったので、実現することが出来て嬉しいです。初めて読んだときの躍動感や面白さなどを考慮して演じられたらと思っています。僕が演じる七尾は、実力はあるがついていないという“ほんわか”な役どころなので、作品のいいクッションになれればと思います。

七尾役の平野良さん

坂口　王子という役は、中学生でありながら、人を殺したり大人をコントロールするのを楽しんでいる役なので、本番でも大人をコントロールしながら、楽しみながら演じたいです。また、悪役ということで、最後は見てくださったお客様に嫌われて終わりたいなと思っています。

王子慧役の坂口湧久さん

谷口　小説からそのまま舞台化というのは初めての経験で、みんなで小説もいっぱい読んで、キャラクターを自分たちで膨らませて作る作業は毎日楽しかったですし、そういうものが乗っかった素敵な舞台になっています。個人的には、殺していない一年がないくらいずっと殺しまくっている俳優をやっているんですが、40歳になってまさか自分のふた回り年下の坂口くんに1時間半ずっといじめられる役なので、そこが見どころかなと思っています。

木村雄一役の谷口賢志さん

福圓　私が演じる真莉亜は、七尾くんとタッグを組んで仕事をする仲介みたいな役で、七尾くんよりは少し偉い立場ですが、稽古はずっと平野さんに引っ張っていただきました。こういう大人っぽい役は初めてで、決して恋人関係ではないという微妙なラインを稽古で突き詰めましたので、2人の関係性も楽しんでください。

小沼　蜜柑は切れ者で冷静沈着で、僕とはかけ離れているところにいるんですが、稽古からずっと考えて来て、まだまだ勉強するところもあります。ですが本番に向けて一生懸命頑張っていきます。見どころは「蜜柑と檸檬のコンビ感」です。

蜜柑役の小沼将太さん

碕　最初に小説を読ませていただいて、新幹線の密室劇をどうやって舞台上で表現するかと思っていました。セットも完成して、お客様からどのように見えるかが楽しみです。「檸檬と蜜柑は素敵だった」と思ってもらえるように頑張りますし、このメンバーでしか作れない「マリアビートル」を皆さんに見ていただき、世界観を楽しんでください。

檸檬役の碕理人さん

若宮　鈴木という役は、唯一「グラスホッパー」にも登場していて、原作ファンにも楽しんでいただけるよう、一丸となって稽古をしてきました。また鈴木以外にも何役か出演していて、オカマの役もやっていて、今回のためにダイエットと足の毛も全部剃りました。そういう部分も注目してください。

山本　僕が演じる殺し屋の「狼」は、ハッピーになればなるほど、七尾が不幸なところが目立つと思うので、ハッピーな気持ちで演じて七尾をもっともっと不幸にさせていきたいです。

中村　先程湧久くんが「嫌われるように頑張ります」と言っていたんですが、私は物語的にも最初は人に好かれるように頑張りたいです。あと一幕のシーンで、七尾さんのおかげで七尾さんと恋が始まりそうな瞬間も組み込めたので、そこを注目して見てもらいたいと思っています。

深澤　伊坂さんの作品に出させていただくということはとても光栄です。車掌という役は実際小説の中には数ページしか登場しませんが、舞台では多く登場して、この時の車掌はどのいうことを考えているのかなという部分を見ていただけたらと思います。

稽古中のエピソードでは、谷口さんが「小説だと自分で読むペースが決められるんですが、舞台だとどうしても流れの時間が決められてしまいます。今回は王子と蜜柑と檸檬にかかる比重が大きくて、だから稽古が終わっても1～2時間残って、早回しでセリフのやりとりをしたり、ディスカッションしたりしていたので、お父さん目線で『頑張れよ！』と思いながら見ていて、とても素敵でした」と熱のこもった現場感を披露してくれます。そして谷口さんからずっと筋トレをしていたと暴露された平野さんは、鍛えていた理由を聞かれ「ただ単に自分を良くしたいと思って……。スミマセン、役作りじゃないです(苦笑)」とつぶやき、谷口さんから「“役作り”って言っておけばいいのに！」と突っ込まれていました。

また演出の元吉庸泰さんから言われたことで印象に残った言葉を聞かれ、坂口さんは「王子というキャラクターは頭が良くて、喋る言葉が一つ一つ全部考えて使い分けるということで、『大事な言葉が流れないように言葉を選ぶことを意識して』と言われて、今でも難しいですが、稽古から谷口さんにアドバイスをしてくださって、なんとかやっています」とコメント。
また碕さんは「『たくさんの旅をして欲しい、いろんな出会いをして欲しい、いろんな感情の旅をして欲しい』という言葉をおっしゃっていて、毎回毎回通しをすることで感情の変化や改善をするという意味で、僕たちは全員“船に乗った”つもりで旅をしようと」と綺麗にまとめたつもりでしたが、「そこは新幹線だろう！」と全員から即座に指摘されていました。

王子役の坂口さんは現在16歳の高校一年生。他のキャストと比べて年齢差があるということで、ジェネレーションギャップを感じたことがあるか聞いたところ、平野さんは「湧久くんは、スマホの扱い方が全部知っていて、僕たちオジサン達がネットで調べて『こんな機能があるんだ！』と言っても、湧久くんが『あっ、それそうっすよ』みたいな感じで、軽く言われて。最近の子は何でも知っているんですね」と素直に感心。
谷口さんは「僕はビールで演劇が出来ているみたいな古いタイプな人間で、人と仲良くなるには、お酒で芝居を話をしたりするんですが、さすがに湧久くんと一緒に酒を飲むわけにはいかないですし、いつ芝居を話をしていいかわからないですから。でも徐々に近づいて、一緒にコーラとか飲みながら芝居の話をしていたら、俺がコーラでお腹が痛くなって(笑)。すごいジェネレーションギャップを感じましたが、本当に仲良くなりましたね」と貴重なエピソードを披露。若宮さんも「僕が田中邦衛さんのモノマネをする場面(※本番ではカットシーンに)があったんですが、湧久くんが『北の国から』を知らなくてビックリしました」と年齢差を痛感したとのこと。

≪公開リハーサル画像≫