2017-11-8

舞台「ヘルプマン！～監査編～」が11月8日より東京・六本木の俳優座劇場にて開幕しました。

今作は、2003年8月から2014年9月まで、講談社発行の『イブニング』にて連載された日本の老人介護を題材に高齢社会の問題点を描いた“介護漫画”の舞台版。初舞台化された2010年以来7年ぶりの上演で、「県庁高齢者支援課」へ配属されたばかりの職員・小池一郎が、介護施設での現場を目の当たりにしながらも奮闘する姿を描いた物語。

主人公・小池一郎役に中村優一さん、『ヘルプマン！』本編の主人公にして元気印のヘルパー・恩田百太郎役に神永圭佑さん、介護業界の実情を内側から切り開く、百太郎の親友・神崎仁役に伊万里有さん、、舞台オリジナルキャストとなる県庁職員・新村薫役に上田堪大さんなどが出演します。

公開初日直前に行われた囲み会見には、キャストの中村優一さん、神永圭佑さん、伊万里有さん、上田堪大さん、緒月遠麻さん、立川らく朝さん、それに脚本演出のなるせゆうせいさんが登壇。それぞれ意気込みを語ってくれました。

(左前列より)伊万里有さん、中村優一さん、神永圭佑さん
(左後列より)なるせゆうせいさん、上田堪大さん、緒月遠麻さん、立川らく朝さん

中村　なるせさんの指揮の下、キャスト全員が介護について語り合って稽古してきました。この舞台を見た後に少しでも見た方々が、介護について向き合っていただけるきっかけになる作品になれたらと思っています。そして、県庁の方々や介護関係で働いている皆さんにも見ていただけると嬉しいです。

小池一郎役の中村優一さん

神永　こういう役を今までやったことがなかったので、最初は戸惑いましたが、なるせさんの演出の下、気合を入れて一言一言熱量を持って発するということで、百太郎の像が見えて来ました。普段からちゃんと人と正面から向き合っていないと、多分成立していかないと思ったので、色々なことを正直に、そして人と全て向き合って過ごしてきました。それを舞台上で表現できればと思っています。

恩田百太郎役の神永圭佑さん

伊万里　この舞台はとても社会貢献をしていると思っています。見てくださる皆様に介護のことを少しでも知ってもらえたらいいなと思うのと、僕の役は介護の難しいワードをよく使うので、きちんとお客様に伝わるように説明していきたいです。

神崎仁役の伊万里有さん

緒月　こういう作品だからこそ、嘘のない芝居を心がけていきたいなと思っています。

上田　今回は原作にないオリジナルキャラクターを演じていますが、“こんな県庁職員が嫌だ”の代表ではないかなと思っています。この作品はちょっと重たく感じるところもありますが、うまく緩和できたらなと思って、明るい未来のために僕は生きています(笑)。

新村薫役の上田堪大さん

立川　本職は落語家ですが、なんで私がここにいるのかわからないんですが(笑)。周りの皆さんはたくさんの舞台に出られている方ばかりなので、それで心配するというよりかは、落語家の了見で何かお芝居ができれば、私を誘っていただいた甲斐があるんじゃないかなと思っています。

なるせ　7年前にもやらせていただきましたが、今改めてこの作品をやるという意味が自分の中にもあって、これから避けて通れない高齢化社会で、たまには真面目にやらなきゃいけないなと気がつきまして(笑)。演劇って世相を反映するものだと思っているので、そういう意味では、この作品をやることで、皆さんの中で何か考えるきっかけを与えられたらと思っています。

アットホームで和気あいあいなカンパニーということで、稽古場でのエピソードを聞いたところ、伊万里さんは「この時期なのか、慢性鼻炎が多いのか花粉症持ちが多いのかと思うくらい、みんな鼻水が出ているので、僕はアレルギー鼻炎を抑えるスプレーを持参しています」とポケットの中から点鼻薬を取り出して笑いを引き出すと、座長の中村さんに対しては、上田さんが「マイナスイオンが出ているんですよ」と癒し系な笑顔と人柄を絶賛。
また通し稽古の回数が非常に多かったようで、中村さんが「10回ぐらい通し稽古をやりました。本番の回数が8回なので、本番よりも多かったんですよ。それと、なるせさんが『2倍の速度で通し稽古しましょう』ということで、みんな早口言葉のように通しましたね」と、なるせさんの稽古スタイルにビックリの様子でした。