唐橋充&藤原祐規W主演+米原幸佑「おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」双」6/21開幕直前SP②「弥次喜多」に意味はいらない

  • 2017-6-16

いよいよ6月21日より全労済ホール/スペース・ゼロにて開幕する、「おんすてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん 双(ふたつ)」」。
しりあがり寿氏の大人気コミックを原作とする本作は、2005年に長瀬智也さんと中村七之助さん主演で映画化もされた、リヤル(=リアル)と幻覚が入り混じった奇想天外な世界を描いたハチャメチャ時代劇コメディ。
歌・ダンス・ヒーローショーを交えた衝撃(笑撃!?)の初演から約1年半……待望の新作公演に向けて、主演の唐橋 充さん、藤原祐規さん、そして「弥次喜多」初参加の米原幸佑さんにインタビュー!
前回公演の裏話や作品の魅力、そして新作公演にかける意気込みなど、3回に渡ってじっくり語っていただきました。

そのPart②は――

(写真左より)米原幸佑さん、唐橋 充さん、藤原祐規さん

(写真左より)米原幸佑さん、唐橋 充さん、藤原祐規さん

【弥次さん喜多さんは恋人同士ですから、必要とあらばキスシーンも!?】

――そろそろ稽古が始まりますが(※インタビューは5月中旬に行われました)今回のキャストの皆さんに期待することや、稽古で楽しみにしていることは?

唐橋 充(以下:唐橋) キャストの皆さんのお芝居も楽しみですが、僕は演出・脚本の川尻さんが今回の「「弥次喜多」双」を、どう作り上げようとしているのかが怖くもあり楽しみでもあります。前回、川尻さんは演出を担当されていたのですが、今回は演出だけでなく脚本も書かれているんです。ということは、川尻さんの頭の中に正解がある。前回は一緒になって悩んで作り上げていったけれど、今回は僕らが台本から読み取らなければならない。……怖いし不安です。

――逆に、ダイレクトに説明していただける分、伝わりやすくなるのではと思いますが?

唐橋 いやいや。僕にとって川尻さんは今の演劇界で一番ご一緒したかった方のひとりで“神”のような存在の方なんです。川尻さんのおっしゃっていることを100%完璧に理解できるか自信がないですし、一緒に悩んでいたぐらいが「目線が一緒で良かった」というのが本音ですね。

「弥次さん喜多さんは普通の人。変なのは周りなんです」と、弥次さん役の唐橋 充さん

「弥次さん喜多さんは普通の人。変なのは周りなんです」と、弥次さん役の唐橋 充さん

――藤原さんが稽古に期待することは?

藤原祐規(以下:藤原) 弥次さんと喜多さんは、至って“普通の人間”なので、どう自然に巻き込まれていくのかは、異質な世界観の共演を皆さんがいかに作ってくれるかにかかっているわけなんですよね。そこはすごく楽しみですし、個人的なことで言うと前回の稽古中に演出の川尻さんが足してくる「こう言ってみましょうか」が100%おもしろかったんですよ。笑っちゃって稽古が進まなくなるっていう体験はなかなかないことなので、今回もめっちゃ楽しみですし、めっちゃ怖いです(苦笑)。

――弥次さんと喜多さんは恋人同士という設定ですが、その関係を唐橋さんと藤原さんが前作の稽古でどう作り上げていったのか興味があります。

唐橋 あぁ~、BL的な話ですか?

藤原 確かに、最初は「恋人だからキスするのかな?」とか覚悟していたんですけど、台本にも「キスする」とは書いていないし……。

唐橋 そういう直接的なことじゃないんです。キスして伝わらないものもあるんです。全部伝わったつもりになっちゃいけません。

――奥が深いですね!

藤原 例えば、二人が一緒に寝ているっていうことは、どういうことなんだろうとかね。「この二人、多分キスしてるだろうな」が伝われば別にいいのかなみたいな。だからイチャイチャと“ちちくりあう”イメージで、唐橋さんが何か仕掛けてきたら、とりあえずのるみたいなのを楽しんでいました。

唐橋 もう“愛”だよね(笑)。抱擁とか接吻以上の愛ですよ。だってどんな変化球を投げても全部拾うんですから。

藤原 あはは! 僕も拾ってもらったんで。そういう意味で親密なお芝居を作れたらいいのかなっていうのは、今回もやっていこうと思います。

唐橋 今回、キスシーンがあったらどうする?

藤原 必要とあらば(笑)。でもお客様は見たいのかな?

――あと、新ビジュアルが発表されましたが、これは……どんな意味があるんでしょう?

唐橋 どう思われましたか?

――全く分かりません!(キッパリ)

藤原 僕らも、撮影するときに「こうなる」と思って撮っていないし。例えば、松の木があって、茶店があって、海が見えてみたいな感じだったら、お伊勢さんに行く道中なんだろうなと想像できますけど、全然そういうのじゃないですからね。

米原幸佑(以下:米原) さっき「要するに分からないのが「弥次喜多」なんだよ」っていわれて、ものすごい説得力だなって感心しました。

「“何か分からないけど”が付くのが「弥次喜多」の魅力」と、喜多さん役の藤原祐規さん

「“何か分からないけど”が付くのが「弥次喜多」の魅力」と、喜多さん役の藤原祐規さん

――意味を求めちゃいけないんですね。

米原 意味? 必要ですか?

藤原 カッコイイ~!

唐橋 意味がない上に、田代哲哉くんの足元に移っている“箱馬”も消さずに、そのまま生かしっていうのがもうね(笑)。

米原 ホンマや!

藤原 これこそ何の意味もない(苦笑)。

唐橋 改めて「あぁ、こういうことなんだ」って思いましたよ、「弥次喜多」は。

藤原 全く分からない! ただ、その「分からない」中に、観る方の個々に刺さるポイントみたいなのがいっぱいある。漫画と同じように、舞台も刺さる人には刺さっていくんじゃないですかね。

唐橋 そうやって確固たるファン層を掴んだ原作ですね。もう刺さって刺さって刺さって……でもよく分からない。でも我々はメッセージを伝えることを放棄するつもりはないし、我々なりに「こういうことかな?」と模索し続けたいと思います。

藤原 「なんか分からないけど怖い」とか「なんか分からないけど悲しい」とか「なんか分からないけど面白い」とか……。

唐橋 っていう枕言葉が付くよね。「なんか分からないけど好き」とか。

「原作を知らなかったけど、台本を読んで『マジか!?』と思ました」と、米原幸佑さん

「原作を知らなかったけど、台本を読んで『マジか!?』と思ました」と、米原幸佑さん

――そんなスゴイ作品を書かれた原作者のしりあがり寿先生からは、何かお言葉をいただいたりしたのでしょうか?

唐橋 いろいろお気遣いいただいた上での言葉だと解釈しているんですけども、「書いたころの事なんて忘れちゃったから好きにやっていいよ」っておっしゃってくださったんです。

藤原 「預ける」と決めたからには、信じて口を出さないというスタンスがスゴイなって思いました。

唐橋 すごく懐の大きな方でしたね。

~Part③に続く~

Ⓒしりあがり寿/2017おんすて弥次喜多

(取材・文/近藤明子)

☆Information

おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」双(ふたつ)
日程:6月21日~6月25日
場所:全労済ホール/スペース・ゼロ
原作:しりあがり寿(「真夜中の弥次さん喜多さん」マガジンハウス刊行/「弥次喜多 in DEEP」エンターブレイン刊行)
脚本・演出:川尻恵太(SUGARBOY)
音楽:あらいふとし+ミヤジマジュン
振付:竹森徳芳

出演: 唐橋 充 藤原祐規
愛原実花
松本寛也 岡田あがさ 松本祐一 古谷大和
足立英昭 石田 隼 田代哲哉 福井将太
加藤良輔 米原幸佑

《公式サイト》
http://www.clie.asia/on_yajikita/
《公式Twitter》
@clie_seisaku

関連記事

前の記事
次の記事

@sumabojp

ページ上部へ戻る