村井良大インタビュー後編・ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』特集

  • 2017-4-8

登場キャラクターは、チャーリー・ブラウンにスヌーピーたち! 世界中から愛され続ける『ピーナッツ』の世界を描く、ブロードウェイ・ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』がいよいよ4月9日に日比谷シアタークリエで開幕します。
スマボでは、今作でチャーリー・ブラウン役に挑む村井良大さんを直撃。掲載中の前編に続き、さらにミュージカルの見どころへと迫るインタビュー後編をお届けいたします。

チャーリー・ブラウン役の村井良大さんを直撃!

チャーリー・ブラウン役の村井良大さんを直撃!

■村井良大さんインタビュー 後編

――「5人の子どもと1匹の犬」というキャラクターのみで描かれる今作『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』ですが、子どもたちの日常生活って、行動範囲も広くはないし、演劇の題材としては最小単位ぐらいの小さな世界ですよね。

村井良大 その小さな世界だからこそ、誰もが経験している物語でもある。すごく分かりやすい例で、チャーリー・ブラウンが読書感想文を書かなきゃいけない、というシーンがあるんです。それって日本人の僕たちも、子どもの頃に誰もが経験していますよね。

――確かに!

村井 色んな子どもたちが色んなやり方で読書感想文を書こうとする姿は、演じている僕たち自身もあるある、と思って懐かしくなるような場面で。原作者のチャールズ・M・シュルツさんが描いた世界観はもちろんアメリカが背景の部分もあるけど、日本人の僕たちでも十分に共感できる、みんなが経験してきた物語なんです。

――子どもが題材なだけに、すごく小さな出来事や、ちょっとした感情の変化という繊細なシーンの連続ですね。

村井 描かれるのは本当にちょっとしたことで、「なわとびを飛びたい」と思って努力していたのに、飛べるようになってしまったらそれはそれで「こんなもんなのか」と思ってしまう。そういう移り気なところは子どもならではだけど、大人でも共感できますよね。そんな姿を突拍子もなく見えすぎないように、絶妙なさじ加減で演じたいと思っています。

――先日の公開稽古では、村井さんはチャーリー・ブラウンを「普通の子代表」と表現していましたが、いわゆる「怒りん坊」「秀才」などの分かりやすい特徴があるキャラクターと比べて、「特徴がないことが特徴」という役づくりは難しいのでは?

村井 そうなんです! 僕が考えるチャーリー・ブラウンには、「なんでもスマートにこなし、常に紳士的、常識的でありたい」という理想があるんです。高望みというよりは、「みんなができることは普通にできるようになりたい」という小さな幸せを求めていて、その希望が小さすぎて掴みづらいんです。大きく演じることが求められる演劇において、見せたい野望が小さいというか(笑)。

――そんなチャーリー・ブラウンに比べると、ほかのキャラクターは性格や特技など、特徴が大きく描かれていますよね。

村井 ほかのキャラクターには突き詰めていく方向性みたいなのがあるんですけど、チャーリー・ブラウンはみんなの真ん中にいて、キャラクター同士をつなぐ意味でもみんなの意見を聞いてあげる中間管理職みたいな感じ(笑)。一歩間違えたら存在感がなくて、舞台上で透明になってしまいそうで…。だけど感情を表しすぎても、「チャーリー・ブラウンっぽくない」って自分でも思ってしまうんです。だから全部忘れて、「元気な男の子」っていうヒントだけでやったほうがいいのかな、と今は考えています。

――「元気な男の子」というシンプルな役作りに、実際の村井さん自身の少年時代は反映されていますか?

村井 自分の子どもの頃は、全く反映させていないですね。チャーリー・ブラウンとは全然違う、もっと変な性格の子でしたから(笑)。

――そんな村井さんは、どんな少年だったんですか?

村井 全然、子どもの頃は「いい人」って言われるような子じゃなかったです(笑)。やらなきゃいけないことも適当だったり、ちょっとした反発心もあって、大人の言うことを聞かないこともあったし。なので、チャーリー・ブラウンはイチから作っている感覚なんですが、あまり脚本の中にも彼がどんな性格なのかが分かるようなことは書かれていないんですよね。

――今作では、シュローダー(東山光明さん)が『ベートーベン・デイ』を歌い上げたりと、各キャラクターが中心になる場面も登場しますが、チャーリー・ブラウンが中心になって描かれているエピソードもあるんでしょうか。

村井 チャーリー・ブラウンにスポットが当たるシーンだと、凧あげの場面があります。凧を上手にあげたくて奮闘しているんですけど、チャーリー・ブラウンの場合はあくまでもエピソードのひとつであって、シュローダーが「ベートーベンの誕生日を祝いたい!」と歌う『ベートーベン・デイ』や、スヌーピーが「ごはん大好き!」と歌う『サパータイム』のような、本人の強い主張が込められているわけではないんです。

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――スポットが当たるシーンと言っても、ほかのキャラクターたちとはちょっと違う見え方になりそうですね。

村井 チャーリー・ブラウンが歌うのは、不安や後ろ向きな感情をつぶやいているような感じなので、それだけ淡々と過ぎていってしまいそうで。この場面をどうみせるか、役者としては腕の見せ所だと思います!

――頼もしい言葉ですね! 今作では、キャストの方も6名それぞれにミュージカル以外のフィールドでも活躍されている方が集まっていて、村井さんにとって刺激的な場所になっているんじゃないでしょうか。

村井 こんなにジャンルが違うメンバーが揃うことはないので、毎日の密度が濃いです。

――20代から30代の若いキャストが集まった中、村井さんはちょうど真ん中の世代で、先輩、後輩がそれぞれいる立場に。村井さん自身は、自分が稽古場ではどんな存在になっていると思いますか?

村井 それが全然、分からない(笑)。自分が一番、何者でもないような気がしています。例えば、田野ちゃん(田野優花さん)は最年少の20歳だけど、僕たちの中でもダンスの憶えがすごく早くて、「ダンスで何かあったら田野ちゃんに聞く」というぐらい、ダンスリーダーとして頼れる存在。その次に若い一紀(古田一紀さん)も、本人の持ち前の運動能力の高さもあってダンスもできるし、「僕はこういう風に表現したいんだ!」っていう熱さがあって、見ていてキラキラしているなって刺激を感じるんです。

――年下チームのエネルギッシュな刺激に対して、中川さんら先輩からは色々と学ぶ面も?

村井 アッキーさん(中川晃教さん)は独自の世界を持ってお芝居をしていて、歌はもちろん勉強になりますし、ミツさん(東山光明さん)は役作りで一緒に悩んだりしていても、キャラクターの探り方に色んなアプローチ方法があるんだと感じさせてもらえて。高垣彩陽さんは声優として大活躍をされているだけに、僕たちとは違った見せ方を持っていて、声にもすごくエネルギーがあるんですよね。本当に6人ともバラバラのジャンルから集まったので、この6人が集まったときにどんな風になるんだろうってワクワクします。

――そんな皆さんが歌い上げる劇中歌も、6人同様に様々なジャンルのナンバーが揃っているそうで。

村井 50年前の1967年に作られたミュージカルなので、全体的には今どきの音楽というよりはどこかクラシックな雰囲気を感じる曲が多いです。テンポが速くてノリノリ、というよりは、音をひとつひとつ聴きながら楽しめる楽曲が揃っています。

――スヌーピーと子どもたちを描いたミュージカルでありながら、ジャズやクラシックなど、音楽には大人の雰囲気を感じました。

村井 そう、音楽はどこか大人っぽい。それは原作者のシュルツさんがマンガで描いていた、子どもたちが大人びた言葉を交わしていたりする世界にも共通していると思います。だからこそ、やっぱり僕たち大人が演じたい。子どもたちが演じるならもっと可愛らしいメロディの曲が似合うと思うんですけど、大人が演じるミュージカルとして音楽もしっかり作り上げていきたいです。

――そんな聴かせる楽曲たちも、見どころとして楽しみです!

村井 これはアッキーさんが教えてくれたんですが、劇中の音楽に、色んな名曲と呼ばれる曲のフレーズにどこか似た要素があるらしくて。僕は詳しくないんですけど、音楽を深く知っている人ならここからインスパイアされているのかな、と思うような遊びがたくさんあるみたいです。それは細かく分からなくても、誰もが一度は耳にしたことがある感覚を味わって心地よく聴けるんじゃないかなと。そんな大人っぽさの中で子どものエネルギーが爆発している、不思議な魅力が作りだすエンターテインメントになると思います。

――とても親しみがあるけど、深く知らない部分もある。日本人にとってのスヌーピーや、『ピーナッツ』のキャラクターにもそういう面があるかもしれないですね。そんな作品へ挑むにあたり、村井さんはどうなれば今作を成功と言えますか?

村井 成功の条件!? う~ん、難しい。でも、このミュージカルを見て『ピーナッツ』に興味を持ってもらえたら嬉しいです。僕自身も、今まではスヌーピー=キャラクターとしてとらえていて、原作のマンガは読んだことなかったので、こういう面白い作品があるんだ、っていう入口のひとつになれたらいいなと。僕たちを通して、『ピーナッツ』の世界をもっと覗いてみたいな、と思っていただけたら成功と言えるんじゃないかなと思います!

――それでは最後に、上演を楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします!

村井 観終わったあとに心が温かくなるような可愛らしいお話ですが、基本的には笑ってもらえる作品に仕上がっています。子ども向けじゃない、だけど大人だけのための物語でもない。お子さんがいる方には、「うちの子もこんな時あるある」なんて思ってもらえるかもしれないし、誰もが自分や周りの方にどこかを当てはめられるストーリーだと思います。そんな『ピーナッツ』の世界を僕たちと一緒に覗いて、笑顔になってください!

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以上、前編・後編と2回に渡って村井さんのインタビューをお届けいたしました。
それぞれ異なるフィールドで活躍する実力派キャスト6名が、等身大で生きる“ピーナッツ”のキャラクターとなって、しあわせのメッセージを伝える期待作! ブロードウェイ・ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』は、4月9日より日比谷シアタークリエにて開幕です。チケット情報ほか、公演に関する詳細はInformationから公式サイトをチェックしてください。

衣装協力:wjk base、GARROT TOKYO、
スタイリスト:吉田ナオキ
ヘアメイク:森 香織

☆Information

ブロードウェイ・ミュージカル
『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』
原作:チャールズ・M・シュルツ著コミック「ピーナッツ」より
脚本・音楽・詞:クラーク・ゲスナー
追加脚本:マイケル・メイヤー
追加音楽・詞:アンドリュー・リッパ
訳詞・演出:小林香
キャスト:村井良大/高垣彩陽/田野優花(AKB48)/古田一紀/東山光明/中川晃教
【東京公演】
2017年4月9日(日)~25日(火)シアタークリエ
チケット料金:10,800円(全席指定・税込)
お問合せ先:東宝テレザーブ 03-3201-7777 (営業時間9:30~17:30)
【福岡公演】
2017年4月29日(土)キャナルシティ劇場
【大阪公演】
2017年5月6日(土)・7日(日)サンケイホールブリーゼ
【愛知公演】
2017年5月9日(火)・10日(水)日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
《公式サイト》
http://www.tohostage.com/charlie/

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