2016-8-26

8月27日よりシネマート新宿・心斎橋、福岡中洲大洋ほか全国で順次公開される映画『U-31(ゆーさんじゅういち)』。

2002年より『モーニング』にて連載されていた綱本将也氏が描く本格サッカー漫画を、Jリーグ「ジェフユナイテッド市原・千葉」の25周年記念として映画化した本作。
全盛期を過ぎ、強豪チーム「東京ヴィクトリー」から戦力外通告を受け、古巣の弱小クラブ「ジェム千葉」に復帰した31歳の元日本代表・河野敦彦が、若手選手たちからの冷やかな視線や、戦力より動員UPのために獲得した経営側の戦略をわかっていながらも、黙々と練習をこなし再起をかける物語。

スマートボーイズでは、ジェム千葉に復帰した河野敦彦役の馬場良馬さん、ジェム千葉の若きエース・戸澤敏行役の中村優一さん、ジェム千葉のまとめ役・笠原隆輔役の根本正勝さん、東京ヴィクトリーで河野とチームメイトだった成田剛士役の中村誠治郎さんの4人にSP座談会を敢行！　3回に渡り、特集でお届けします。

PART③では今作の見どころやキーワードでもある「引退」に関する質問などに答えていただきました。

挿入歌には、根本さん＆誠治郎さんによる音楽ユニット「Ash」が担当しています！

――映画の中で「自分以外のシーンでここが見どころ！」というシーンがあったら教えてください。

中村誠　馬場くんとねもっちゃんが、夜、学校のグラウンドでボールを蹴りながら語り合うあのシーンが好き。ベタといえばベタだけど、あれは良かった。

根本　成田と河野が橋の上で話をしているところで、成田が「俺だってサッカーやりたいけど、続けられない理由があるんだ」という部分がすごくリアルで、実際プロのサッカー選手も直面するだろうなと思うし、グッときますね。

馬場　僕は編集部のシーンを初めて見たんですが、すごく新鮮で、平畠さんの芝居が好きでした。平畠さんってお芝居をやっているイメージがなかったんですが、メチャメチャ上手いんだなって。サッカー雑誌の編集部なんて見たことないけど、「うぁー、いるいる」って勝手に思うくらい素敵でした。

中村誠　すごい自然だったもんなぁ。

中村優　僕はこの話の軸になる、河野が心にいろいろと抱えながらも我慢しつつ進んでいくシーンが好きで、中でも河野が子供を抱いていて、ずっと足をコショコショしているところです。

(一同笑)

馬場　ホント？コショコショしていた？

中村優　無意識だったかもしれませんが、違う河野が見られたのかなと思って。

河野敦彦役の馬場良馬さん

――サッカー選手に限らず、プロスポーツ選手にとって、引退は避けて通れないと思います。引退といえば、中田英寿さんのように、余力を残しながら引退するケースもあれば、三浦知良選手みたいに限界までプレーするケースもあります。もし皆さんがプロスポーツ選手だったとして、どちらの方に憧れを感じますか？

馬場　中田英寿さんって、最初から海外へ行くつもりで高校から言葉の勉強をして、海外で10番を背負うほど活躍したのに「俺にはやることがたくさんあるから」ってスパッと引退したじゃないですか。もし自分がスポーツ選手だったら、憧れるかもしれませんね。

根本　自分ができるかどうかわかりませんが、最後までプレーし続ける派ですかね。どっちもいいですけど、どうやって自分が衰えていくのかをわかっていて、カバーしているんだろうなって。話に聞いたところだと、カズさんって誰よりも早く来て、一番遅くまで練習しているらしいんですよ。そのモチベーションを持ち続けられることが凄いなと思っていて。僕らも俳優をやっている上で、モチベーションって大事なことだと思いますが、カズさんはすごいなと思います。

中村誠　俺もカズさん派かな。カズさんというより山本昌さん(元プロ野球選手)です。

――また野球ですか(笑)

馬場　ドラゴンズ、いっちゃったか！

中村誠　限界近いころに伝説残して引退したいですね。そしたらその後食いっぱぐれもしないじゃないですか。

馬場　そこのケアまでも考えるんですね(笑)。

中村誠　両方ともいいですけど、できる限りは頑張りたいですね。

馬場　中田さんって、サッカーを辞めることを引き際と思っていないところが凄いじゃないですか。

根本　2006年のW杯で負けてスパッと辞めたじゃないですか。そこにかける想いというのは並々ならぬものが、きっとあったんだろうね。

馬場　でも、何十年も一つのものに向き合うのも凄いことですよ。

中村優　僕は中田さんのようにスパッと辞める派に憧れるけど、結局辞めなくて頑張るかなと。ただそれがカズさんのようにできるかわかりませんが。

戸澤敏行役の中村優一さん

――中田さんもカズさんも凄い選手ですから、どちら派に分けるのは難しいですよね。

根本　そうですね。それこそカズさんには50歳までプレーし続けて欲しいです。

馬場　ちなみにカズさんって今何歳ですか？

――1967年生まれなので、49歳です。

根本　えっ、もうそこまで年齢達しているんですか？

――山本昌さんは、50歳まで投げ続けてましたよ。

中村誠　山本昌は凄いですよ！でもサッカー選手の寿命はプロ野球選手よりも短いからカズさんも凄いです！

笠原隆輔役の根本正勝さん

――では最後にファンの方へのメッセージをお願いします。

馬場　千葉の作品で、しかもジェフ千葉の25周年という節目というタイミングで、こういう映画に出させていただいたことは、とても嬉しいことです！　サッカーが好きな方でも楽しめると思いますし、そうでない方でも人間ドラマとして楽しんでいただけると思うので、たくさんの方に見ていただけたら嬉しいと思います。

中村優　河野を通して、挫折から這い上がっていくというところを、これからの人生の糧にしていただけたらなと思いますので、ぜひ劇場に足を運んでください。

根本　こうして完成したものを見て、やっぱり映画はいいなぁって、素直に思うんです。この作品はサッカーに携わる人たちの人間関係が描かれていて、河野だけではなく、一人一人のキャラクターがいろいろ抱えているものがあるので、そういったところを「あぁ、わかるなぁ」って思ってもらえたら嬉しいです。

中村誠　引退とか年齢による衰えって、誰でも通るところだと思うので、諦める人もいれば、まだプレーする人もいるし、そこをどこに重きを置いているかとか、人それぞれ違うと思います。僕も客観的にこの映画を見たとき、「29歳から30歳になるときに、そういう風に思っていたな」って感じたので、若い方も年配の方でも楽しめる映画だと思いますし、とにかくたくさんの方に見て欲しいです。