7/4&5松田凌主演朗読劇『クロードと一緒に』開幕直前SP②「彼」に入り込み過ぎて本番中にイライラすることも!?

  • 2016-7-3

1985年にカナダで初演、その後ロンドンでも上演。本国カナダでは映画になり、2014年に日本初上陸を果たした『Being at home with Claude~クロードと一緒に~』。

若い男娼である「彼」と、彼の起こした殺人容疑を取り調べる「刑事」の緊迫した2日間を描いた本作は、2014年5月に「彼」相馬圭祐さん×「刑事」伊藤陽佑さん/「彼」稲葉友さん×「刑事」伊達暁さんのダブルキャストにより、日本で初演。2015年4月には松田凌さん演じる「彼」に対し、唐橋充さんと山口大地さんが「刑事」役と「速記者」役をスウィッチ・キャストで再演されました。

1年2か月の時を経て、今回『Being at home with Claude~クロードと一緒に~』が、Lecture-Spectacle(=読み聞かせ)の朗読劇として、7月4日&5日に新国立劇場 小劇場 THE PITで上演されます。

昨年に続き「彼」役を演じる松田凌さんに今回の朗読劇の意気込みや、「彼」に対する想い、今だから話せる前回公演の(秘)裏話など、2回に渡りたっぷり語っていただきました。
SPインタビュー後編は――

男娼の「彼」役を演じる松田凌さん

男娼の「彼」役を演じる松田凌さん

【「彼」を演じたらどうなるか興味が沸く役者はいるけれど……譲りたくないです!!】

――去年の舞台版は、演じている側も満身創痍で、受け止める観客側も息を殺しながら見つめる感じが、スリリングだなという印象でした。

改めて振り返ると、松田さんにとって『クロードと一緒に』は、どんな舞台でしたか?

松田 当時は客観的に自分を見ることが出来なかったし、取材などで話している最中も、自分がどうにかなってしまいそうな精神状態でしたね。
時間を経て、ようやく振り返って言葉にすることが出来るようになったけれど……自分が持てるものは全て出しきったつもりだけど、果たして皆さんに”何か”を届けることが出来たんだろうか? もしかしたらこの作品の魅力の半分も伝えきれていないんじゃないか? って悔いが残っています。
もちろん、あの時にしか演じることができない、自分の中の「彼」はすべて出し切ったので、そこに悔いはないんですよ。ただ『クロードと一緒に』っていう作品自体、自分が今までやって来たお芝居とは少し毛色が違うから、これを機に新しい自分を見い出して届けられるようにならなければと思っています。

――周囲からの反響もすごかったでしょ?

松田 包み隠さず言うと賛否両論ありました。僕自身も「彼」を演じる中で日々”ムラ”があって、公演ごとに自分自身が演じる「彼」が変わってしまう感覚を、自分自身もどかしく感じていました。

――精神的なものに左右されてしまっていた、ということですか?

松田 うん、やっぱりキャスト同士が会話して、その会話の中で”何か”を受け取って作られる作品なので、1日1日ゴールが違ったんですよ。
それは自分の役者としての技術量で足りてなかった部分もあると思うので、今回はさらにそこを浮き彫りにして、精度を上げていかないとダメだなと思っています。
言葉をしっかり伝えること、気持ちだけじゃなく内容を分かりやすく噛み砕いて伝えることを、常に心に留めて演じたいですね。
昨年の舞台は、それこそ「魂を売ってなんぼ」みたいな感じでしたから(苦笑)。

――あぁ~、確かに観ている方は「この人、今ここで、死んでもいいと思ってるんじゃないか?」って不安にすらなりました。

松田 あはは! それは本当に思ってました。普段は絶対思わないけど、あの舞台に立っている時は「今ここで命が尽きるなら本望だな」ぐらいの感じはありましたね。
『クロードと一緒に』は、僕にとって自分自身の役者としての存在意義を確かめられる作品なんです。
先ほど演出の杉本凌士さんが「舞台では全身全霊で演じたけど、今回は”本を読む”ことが第一の君たちの仕事。窮屈になるかもしれないけど、そこを乗り越えて松田くんには頑張ってほしい」っておっしゃってくださって、「あぁ、その通りだな」と……。
「言葉に乗せる」じゃないですけど、今までとは違った自分の表演方法が、今回の読み聞かせからも見い出せればいいなと思っています。

「本作にとって"意味のある日"に上演されることに運命を感じます」

「本作にとって”意味のある日”に上演されることに運命を感じます」

――話はガラッと変わりますが、次は「刑事」を演じたいなとか「速記者」を演じたいなとか、思ったりはしませんか?

松田 全くない! 全くないです! 僕が「刑事」とか想像できないです。

――全力で否定されてしまいました(笑)。

松田 もしこの先も声をかけていただけるのならば、僕は50代になっても60代になっても「彼」をやりたいです(笑)。

――もう「彼」という役に惚れこんでいるんですね。

松田 惚れこんじゃってるのかな? 別に好きで足を突っ込んだんじゃないんですけど、抜けられなくなっちゃったんですよ(苦笑)。
そのぐらいこの作品と役には魅力があるんです。僕は役者としても全然青二才だし、まだまだ何も出来てないけれど、『クロードと一緒に』に出演して「彼」を演じたことで、自分でもいい方向に芝居が変わっているなと思いますし、マネージャーさんにも言われました。
なんかね、「ここに来れば、成長できるんじゃないか?」みたいな安易な考えもあるんですよ(笑)。その分、死にそうな思いをしますけど、何回もやりたい! 出来る事ならオリンピックと同じ、4年に1回の周期で上演したいですね。
今25歳なので、29歳、33歳、37歳……41歳まではやりたいかな? でも多分、「彼」役を演じたい人、いっぱいいると思いますよ。僕、めちゃくちゃ言われますもん。観てくれた役者仲間に「お前のあの作品の、あの役が忘れられない」って。
そう言われる作品や役に出会えるって、本当にありがたいことだし、この年齢で出会えて良かったです。これから歳を重ねて演じることで、どんどん成熟したものになっていくと思うし、まだまだ変わっていけると思うんです。
でもって、芝居の精度を上げたいです。前回の一番の反省はそこなんですよね。感情を爆発させる芝居はできても、物語を支えるという部分では、自分を見失っていたものがあると思うから……。自分よがりでしたからね、ホントに!
自分が「彼」を想い過ぎてお客さんの存在に苛立っていましたから。本番中に「何聞いてるんだよ、コイツら!」ってお客様に対してイライラしてた(笑)。

――あはは! それはヒドイ!(笑)

松田 普段は絶対にそんなこと思わないし、むしろ観てくださる方に分かりやすく提示しようと、考えて演じることを心がけているんですけど、そういった芝居の概念が、根底から全部崩れちゃったことに自分でビックリしました。

――もう「彼」そのものになっちゃったんですね。

松田 うん(苦笑)。観に来てくださる方たちは、貴重な時間とお金を割いて来てくださっているんだから、「セリフが聞き取りづらい」とか絶対にあってはいけないことだと頭では分かっているけれど、そんな基本的な事も吹き飛んでしまうくらい、「わ~!」ってなっていました。
あのぐらいの爆発力はそのままに、冷静な部分を残してさらに演技の精度を上げていけるように、今回も挑戦していきます!

――さきほど「彼」役を演じたい人は、いっぱいいると思うと言いましたが、「彼」を演じるには、松田さん的にはどんな条件が?

松田 ちょっと”危うさ”と”なまめかしさ”がある俳優さんを見ると、この人が「彼」を演じたらどうなるんだろう? という興味が一瞬沸くけれど……。でも「彼」役は譲りたくない!! 『クロードと一緒に』を上演するときは、毎回僕を「彼」役で出演させてほしいです!

――それは、「俺が一番”なまめかしい”ぜ!」っていうアピール?

松田 あ、いやその……それは皆さんの判断にお任せします(苦笑)。

~了~

(取材・文/近藤明子)

Lecture-Spectacle『Being at home with Claude~クロードと一緒に~』は、7月4日~7月5日に新国立劇場 小劇場 THE PITにて上演。7月5日の2公演を対象に学生券も発売中。
当日券に関する情報など詳細はInformationから公式サイトをチェックしてください。
※映画のR-15と同程度のセクシュアルな表現があるため、15歳未満の入場は不可。

■松田凌 出演動画はアプリで好評配信中↓■

☆Information

Lecture-Spectacle『Being at home with Claude~クロードと一緒に~』
日程:7月4日~7月5日
場所:新国立劇場 小劇場 THE PIT
作:ルネ=ダニエル・デュボワ
翻訳:イザベル・ビロドー/三宅優
上演台本・演出:杉本凌士[劇団 男魂(メンソウル)]
出演:松田凌 鈴木ハルニ 岩尾祥太朗/伊達暁
ライブ・ミュージシャン:水永達也
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《公式サイト》
http://www.zuu24.com/withclaude2016/
《公式Twitter》
@withClaude

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