2015-8-24

教科書には載らないような歴史上の出来事をエンタテインメントとして表現する”もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ”。
戦国時代に生きた天正遣欧少年使節の知られざる苦悩を描いた『マルガリータ』に続く第2弾は、今から400年前の”大坂夏の陣”を題材にした『幻の城～戦国の美しき狂気～』。

原作は、風野真知雄氏の長編歴史小説「幻の城大坂夏の陣異聞」(祥伝社文庫刊)。

慶長十九年(一六一四)、徳川家康と豊臣氏による”大坂夏の陣”が幕を開けた。豊臣方の武将が続々と大坂城へ入城するも、総大将にふさわしい器を備えた人物がいないことに一抹の不安を覚えた真田幸村は、密かに根津甚八らを流人の島・八丈島に向かわせるのだった――

10月9日より上演の、本作の主人公である狂気の武将・宇喜多秀家(うきたひでいえ／五大老の一人)を演じる鈴木拡樹さんと、同席の座間隆司プロデューサーにお話を伺いました。

主演の鈴木拡樹さん

【誰もが知っている人物にあえてスポットを「当てない」コンセプトにピッタリの作品！】

――昨年上演された『マルガリータ』から1年ぶりの上演となりますね。

鈴木拡樹(以下：鈴木)　実は『マルガリータ』打ち上げの時から「来年、第二弾の舞台をやりたいね」という話があったので、ひとつの目標が実現できたという喜びがあります。

――今回の舞台では、関ヶ原の時に活躍し、八丈島に流された武将・宇喜多秀家が主人公とのことですけど、鈴木さんは宇喜多秀家のことはご存知でしたか？

鈴木　はい。といっても『戦国鍋TV』の”五大老”の歌で知ったくらいの知識なので、詳しくはこれから調べることになります(苦笑)。僕と同じように『戦国鍋TV』を観ていて「名前だけは知ってた」という方には、これを機により深く知っていただけたらなと思いますね。きっとガラッとイメージが変わるんじゃないかなと思います。

――現段階(取材は7月)で、鈴木さんの中の”宇喜多秀家”像は、どのような人物なんでしょう？

鈴木　まだ台本も手元にない状態なので”宇喜多秀家”像というほど明確なイメージは作れていないんですが、話を聞く限り、「そんなにぶっ飛んだ人だったのか！」ってやりがいを感じています。すごく興味深い人物であると同時に、「なぜ、こういう考え方をするようになったんだろう？」と、半生を遡って行くうちに、もっと大好きになるんじゃないかなって思える人物ですね。

――ちなみに、その”ぶっ飛んだエピソード”で、特に印象的だったものというと？

鈴木　いただいたプロットに書かれていた薬草のエピソードですね。ただの雑草を「毒だ」と偽って飲ませようとするんですけど、その辺の心理戦というか、やり取りはすごく面白いなと思いました。ピンチの時に一か八かの勝負に出る切れ者って、演じていて楽しいんじゃないかなって思います。

――ところで、原作の小説はもうお読みになりましたか？

鈴木　仕事の合間の移動時間に読み始めたところですが、まだ宇喜多が登場するところまで読めていないんです(苦笑)。でも、ちょっと読んだだけでも、今までの真田十勇士を、いい意味で裏切る展開のものなので、早く先が読みたいなってワクワクしています。

――せっかく座間プロデューサーにも同席していただいているので、この小説をチョイスした理由をお伺いしてもいいですか？

座間プロデューサー(以下：座間P)　チョイスした理由は、教科書とかには1行ぐらいしか書かれないような人名や出来事を取り上げるということがまず第一で……。
“大坂の陣”や、そこに登場する”真田幸村”や”徳川家康”といった、誰もが知っている人物にあえてスポットを「当てない」というのがこのシリーズのコンセプト。ちょっと歴史に興味を持っている人を、いい意味で裏切るところに奥深さがあると思っているので(笑)。それに一番当てはまる小説が、この『幻の城』だったということですね。

鈴木　”大坂夏の陣”と聞くと、まず「真田幸村が活躍する話かな？」と浮かぶと思うんですけど、そうではないというのが、このシリーズの面白さですよね。

座間P　でもね、この小説を探すのは、めっちゃ大変だったんですよ！　「もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ」は原作ありきのシリーズなので、ここに行き着くまでには、試行錯誤や相当いろんなものを経てたどり着きましたね。

――特に今年は、大坂夏の陣から400年ということで、夏の陣や真田幸村を扱った本は書店でも多くフェアなども行われていますから、その中からこのチョイスというのが面白いなと思いました。

座間P　プロデュースという視点で言うと、”大坂の陣400周年”や来年の大河ドラマが『真田丸』っていう真田幸村の話ですから、そのような世の中の流れにのっていながら裏をかくっていうのが偶然ながらにあるかどうかだと思っているんですね。今回の『幻の城』は、そこがピタリとうまくはまったなと思っています。

鈴木　「歴史にはまる」＝「いろいろ調べたくなる」ということだと思うんです。そういう探求心を刺激するには、この”もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ”は、いい入り口になっていると思いますね。

～Part②に続く～

(取材・文／近藤明子)

(c)「もっと歴史を知りたくなるシリーズ」製作委員会

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☆Information

『幻の城～戦国の美しき狂気～』
日程:10月9日～10月18日
場所:EXシアター六本木
原作: 風野真知雄「幻の城　大坂夏の陣異聞」(祥伝社文庫刊)
脚本:鈴木哲也
演出:大関真
テーマソング:「星月夜」天月-あまつき-
出演:鈴木拡樹　細貝圭　山本匠馬　新垣里沙／染谷俊之　風間由次郎　井深克彦　北代高士／武智健二　本間剛　寿里　石井智也／山崎樹範／星野真里　ほか
(c)「もっと歴史を知りたくなるシリーズ」製作委員会
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