「名作は時を越え、少年たちは大人になる。」スタジオライフ『トーマの心臓』初日レポートをUP

  • 2014-5-31

不朽の名作『トーマの心臓』が、劇団スタジオライフにより4年ぶり8度目の舞台化。初日公演のオフィシャルレポートをお届けする。

トーマの心臓

天才漫画家・萩尾望都の不朽の名作「トーマの心臓」を舞台化し、その世界観を見事に再現したことで、日本の演劇界に確固たる地位を築いた劇団スタジオライフ。上演する度に観客動員数を伸ばし、様々な奇跡を巻き起こしてきた劇団代表作「トーマの心臓」が、5月24日に新宿・紀伊國屋ホールで4年ぶり8度目の幕を開けた。

トーマの心臓

主役のユリスモールを務めるのは、これが7回目の同役となる山本芳樹。
「トーマの心臓」を上演するために開かれたオーディションで、1995年に入団した山本の演技はユリスモールそのもので、どこからが彼でどこからが役なのかさえも解らない。

トーマの心臓

相手役エーリクを務めるのも、この役が11年ぶりとなる山本と同期入団の及川健。その息の合った演技、目を見つめあっただけで伝わる空気感はもはや伝統芸能の域に近い。
だが今回驚いたのは、その伝統芸の形を打ち破り、またもや新しいユリスモール像を山本芳樹が構築していたことである。
同じ役を7回も務めながら、今なお新しい表現を追求するその姿勢には表現者としての飽くなき探求心と努力を感じ、頭が下がるばかりである。

トーマの心臓

そして今回特筆すべきなのは、スタジオライフのベテラン役者たちの層の厚さを実感できることである。
山﨑康一が演じるヴェルナー、その妻・ヴェルナー夫人を演じた石飛幸治の演技は特筆に値する。愛する息子を亡くした父親と母親が、息子に瓜二つの少年エーリクと対面しつかの間心を通い合わせるシーンは、心が震えるほど素晴らしく深い。
かつて、主人公の少年たちユリスモールとレドヴィを演じた山﨑と石飛が、時が立ち大人になって今度はその少年たちの親を演じることに、深い感慨と感動を覚えるファンはきっと私だけではないだろう。
劇団創立29年目というスタジオライフだからこそ、その劇団を長く見続けているファンだからこそ味わえる感動と興奮が確かに存在する。そういう熱烈な観客に支えられ愛されて来たからこそ、スタジオライフは今もまだ演劇界で奇跡を起こし続けているのだろう。

トーマの心臓

少女漫画作品を多く舞台化しているイメージからか、若手イケメン劇団などいう括りで捉えられている節もあるが、スタジオライフは層の厚いベテラン役者たちの素晴らしい演技と、若手役者たちの瑞々しいフレッシュな演技で形成されている演劇集団である。ここまで純粋に芝居を愛し、生真面目に真っ直ぐに演劇を創作し続けている集団を私は他に知らない。40年前に描かれた名作漫画「トーマの心臓」が今もなお色褪せず至高の高みにいるように、それを舞台化するスタジオライフの存在も色あせない。名作は時を越え、少年たちは大人になった。しかし、それは希望の物語なのである。

スタジオライフ公演「トーマの心臓」は、4チームのクアドラプルキャストで6月22日まで上演中。
(文:萩尾冴詠)

☆Information

劇団スタジオライフ『トーマの心臓』
公演スケジュール
《東京公演》 5月24日(土)~6月22日(日)
《大阪公演》 7月11日(金)~7月13日(日)
会場
《東京公演》 紀伊国屋ホール(新宿駅より徒歩5分)
《大阪公演》 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(梅田駅より徒歩3分)
出演
【Auslese】
山本芳樹/及川健/岩﨑大/関戸博一/宇佐見輝/牧島進一/青木隆敏/曽世海司/楢原秀佳/山﨑康一/石飛幸治/他
【Spatlese】
山本芳樹/及川健/仲原裕之/関戸博一/宇佐見輝/牧島進一/青木隆敏/曽世海司/楢原秀佳/山﨑康一/石飛幸治/他
【Riesling】
松本慎也/久保優二/仲原裕之/関戸博一/宇佐見輝/原田洋二郎/青木隆敏/曽世海司/楢原秀佳/山﨑康一/石飛幸治/他
【Kabinett】松本慎也/田中俊裕/仲原裕之/関戸博一/宇佐見輝/原田洋二郎/
青木隆敏/曽世海司/楢原秀佳/山﨑康一/石飛幸治/他
チケット料金(全席指定・税込)
前売 5,800円
当日 6,000円
club LIFE会員<前売・当日共> 5,600円
ウイークデイ・サンキューチケット<前売限定販売> 3,900円
チケット取扱い
■スタジオライフ公式ホームページ通常オンライン予約 (PCのみ)
http://www.studio-life.com/stage/toma2014/toma2014_reserve/ticket.php
※予約受付期間は各公演の前々日18:00まで
■スタジオライフ通常電話予約
TEL 03-5929-7039
※予約受付期間は各公演の前々日18:00まで
■チケットぴあ
http://pia.jp/
TEL 0570-02-9999 〈Pコード 東京公演:436-148 大阪公演:436-149〉
■ローソンチケット
http://l-tike.com/
東京公演 TEL 0570-084-003 〈Lコード:36650〉
大阪公演 TEL 0570-084-005 〈Lコード:58801〉
TEL 0570-000-407 〈オペレーター対応〉
■e+(イープラス)
http://eplus.jp/
■カンフェティ
http://www.confetti-web.com/
0120-240-540 (オペレーター対応・平日10:00~18:00)
■キノチケットカウンター≪東京公演のみ≫
新宿駅東口・紀伊國屋書店新宿本店5階(10:00~18:30)※店頭販売のみ
■梅田芸術劇場≪大阪公演のみ≫
梅田芸術劇場ネット会員 http://pia.jp/umeda/
梅田芸術劇場オンラインチケット http://pia.jp/koume/
梅田芸術劇場窓口 (10:00~18:00)
※当日券は東京公演・大阪公演共に、開演の1時間前から劇場入口の受付にて販売いたします。(販売開始時刻より先着順での販売を予定しておりますが、状況によっては販売開始前に整理券を配布する場合もございます。当日券販売情報等に変更がある場合は改めてご案内いたします。
《公式サイト》
http://www.studio-life.com/stage/toma2014/

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