《POWER PUSH》村井良大インタビュー③頭が真っ白になるまで挑んだ映画『醒めながら見る夢』

  • 2014-5-12

辻仁成さんの監督・脚本で、恋人とその妹との関係に揺れる劇作家が、真実の愛を探求する姿を描いた映画『醒めながら見る夢』が、5月17日より公開! 2011年に上演された同名の音楽劇に続き、映画版にも出演する村井良大さんに直撃Part.3!ラストのテーマは……

「共演者には暗い人と思われていたかも……(苦笑)」と語る村井さん

「共演者には暗い人と思われていたかも……(苦笑)」と語る村井さん

■クランクイン前のアドバイスは「とりあえずセリフ覚えましょう」

――撮影自体は、時系列的に順番に撮影していったんですか?

村井 順番ではなかったですね。僕は一番ラストのシーンを一番最初に撮りました。

――橋の上のシーンですか?

村井 そうです。しかも最初、あのシーンは笑顔になる予定ではなかったんですよ。台本にはただ「川を見つめている文哉」とだけ書いてあったんですが、辻監督から「笑顔になってほしい」と言われて、迷いながら演じたシーンだったんです。

――そうなんですね。私は完成したばかりの映像を見せていただいて、すごくすんなりと”あの笑顔”が受け入れられたので、てっきり順番に気持ちを作りながら撮って行ったものだとばかり思っていました。

村井 あ、本当ですか? 良かった! 実はあのシーン、僕の中で「文哉は明確な答えは見つからなかったけど、一歩を踏み出せたんだな」という気持ちはあったけど、それで笑っていいものかちょっと迷いもあったんですね。難しかったですね。

――何か、それまで彼を覆っていたものがスーっと溶けて行ったような、すがすがしい笑顔でしたよ。

村井 成仏したみたいな?

――成仏じゃないですよ!(笑) あと、そのシーンの前には文哉の感情がほとばしるように溢れ出すシーンがありますが、どういう気持ちで演じたんですか?

村井 それまで内に溜めているお芝居が続いた事もあり、「これが心の解放なのかな?」っていう感覚はすごく感じましたね。でも撮影中の記憶がぼんやりとしていて……自分のやった行動は覚えているんですけど、「カット!」の声がかかった時には頭が真っ白になって、何でああなったのか覚えていないんです。
うまく言えないけど、例えるなら犯罪を犯した後の犯人って、こんな気分なのかなみたいな……う~ん、犯罪を犯したことがないので違うかもしれないけど(苦笑)、でも何とも言えない不思議な気分でしたね。

――共演の方たちについてもお話を聞きたいのですが、舞台でも共演した堂珍さんとは、どんなお話をされたんでしょう?

村井 堂珍さんとは普段から仲良くさせていただいているので、出演が決まってすぐ電話でお話をしました。堂珍さんからは「映像の仕事ってあまり経験がないんだけど、撮影の前に何をしていけばいいのかな?」って相談されたので、「とりあえず、セリフを覚えていけばいいんじゃないんでしょうか」って答えたら、「あ、そうだよね」って(苦笑)。

(一同、爆笑!)

――アハハハ! 堂珍さんと村井さんが、打ち解けている仲なのが伝わってきます。

村井 一緒のシーンがなかったのは、ちょっと残念ですね。

――陽菜のお母さん役の高橋ひとみさんとの、いい感じにバチバチしたシーンもありましたね(笑)。

村井 文哉としては「お店に来ただけなのに、そんなに言われるか!」みたいなのがありましたね(苦笑)。あのシーンは文哉も意地を張って引かないんですけど、言葉は丁寧なのに「早く帰ってくださいよ」みたいなのが見え見えっていうのが怖いなと思いました。お芝居中はあまり目を合わせられなかったけれど、普段の高橋さんはすごく優しい方で、そのギャップがスゴかったです。

――共演シーンの多かった陽菜役の石橋杏奈さんは、どんな人でしたか?

村井 マイペースで、いつも「何か楽しいことないかな~?」みたいに探している感じの、フワフワとした雰囲気の方でしたね。けど、陽菜としてカメラ前に立つと表情が一変してカチッとスイッチが入る感じ。「あー、女優さんだなぁ」って思いましたね。

――さきほど、感情を表に出さない役なので、撮影期間中は笑わないで過ごしたというお話がありましたが、石橋さんと控室に居る時も笑わなかったんですか?

村井 ほとんど喋らなかったですね。撮影があとワンカットぐらいで終わりっていう時に、ちょっと気持ちに余裕が出来たので初めて普通に話をしたら「安心しました。普通に笑う人なんですね」って言われてしまいました(苦笑)。多分、それまでは暗いイヤなヤツだと思われていたんじゃないでしょうかね?

――それぐらい役に入り込めるのが、村井良大さんのスゴイところです! では最後に、映画の公開を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

村井 大切な人を失った人は、一体どうやって生きていくんだろうと、すごく考えさせられる作品です。観終わった後には、一歩を踏み出せるような、勇気を与えてくれる作品だと思います。ぜひ観ていただけると幸いです。

※インタビュー了

取材・文/近藤明子
スタイリング/吉田ナオキ
ヘアメイク/HAMA

☆Information

『醒めながら見る夢』
5月17日(土)、新宿武蔵館ほかにて全国順次ロードショー!
監督・脚本:辻仁成
主題歌:堂珍嘉邦
出演:堂珍嘉邦、高梨臨、石橋杏奈、村井良大/松岡充/高橋ひとみ
制作・配給:キノフィルムズ
■東京舞台挨拶
2014年5月17日(土)
1回目10:30の回 上映終了後
2回目13:20の回 上映開始前
会場 新宿武蔵野館1(両回とも)
登壇者 堂珍嘉邦、高梨臨、石橋杏奈、村井良大(敬称略/予定)
■名古屋舞台挨拶
2014年5月24日(土)
開場10:00 開演10:30(上映後12:20~舞台挨拶)
会場 センチュリーシネマ センチュリー1
登壇者 堂珍嘉邦(予定)
■大阪舞台挨拶
2014年5月25日(日)
1回目 12:05の回 上映終了後(開場11:50)
2回目 14:30の回 上映開始前(開場14:15)
会場 テアトル梅田 シアター1(両回とも)
登壇者 堂珍嘉邦、村井良大(敬称略/予定)
■京都舞台挨拶
2014年5月25日(日)
会場 京都シネマ
登壇者 堂珍嘉邦、村井良大(敬称略/予定)
※京都舞台挨拶の時間やチケットの発売方法に関する詳細は、5/10(土)に公式サイトにて発表予定です。
《公式サイト》
http://sameyume-movie.com/
※監督名「辻」のシンニョウは点1つ

(C)2014「醒めながら見る夢」製作委員会

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