男性のみの劇団スタジオライフ珠玉の名作『LILIES』待望の再演、遂に開幕!

  • 2013-11-28

男性だけの劇団スタジオライフが、4年ぶり4度目の公演となる『LILIES』を開幕しました。

緊張感ある舞台は一瞬たりとも目を離すことができず、繰り広げられる人間ドラマを繊細に描きながら骨太にテーマを伝えて、スタジオライフの代表作というべき傑作となりました。

劇団スタジオライフ

その魅力に迫る、ゲネプロのオフィシャルレポートをお届けします。

【レポート】
『LILIES』はカナダの戯曲家ミシェル・マルク・ブシャールの作品で、『百合の伝説 シモンとヴァリエ』という題名で映画化され、世界各地で上演されている名作。
1952年、カナダ郊外の刑務所を訪れたビロドー老司教は突然、看守や囚人たちに監禁される。そして囚人シモンの指示によって、ビロドーの目の前で囚人たちの芝居が繰り広げられる。その内容は40年前のシモン、ビロドー、そしてシモンを愛するヴァリエをめぐる事実を再現するものだった。40年前彼らに何が起きたのか、そしてシモンはなぜ40年も収監され続けたのか……。隠された過去が明らかになる。

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作品の根幹を担うのは、シモンとヴァリエの純愛だ。当時のカナダはカトリックの戒律が厳しく、同性愛は教義に反するものとして固く禁じられていた。様々な障害や偏見に押しつぶされそうになりながらも、二人は魂と魂が求めるようにして激しく結びつく。
そして、彼らに嫉妬する少年ビロドー。トリプルキャストのうち、筆者が観劇したSebastiani チームではシモン役を仲原裕之、ヴァリエ役を松村泰一郎、ビロドー役を鈴木智久が演じている。今までの上演時とは違って同年代の役者を揃えることで、3人が織りなすトライアングルがより明確になった。

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4年前の上演時に4回だけ演じたシモン役に再び取り組む仲原は確かな成長の跡を見せて、閉塞された土地から抜け出したいという思いやヴァリエへの揺れ動く心情を細やかに表現した。
前作『カリオストロ伯爵夫人』でアルセーヌ・ルパン役に抜擢された松村が再び大役に挑む。まっすぐな愛情を見せるヴァリエを瑞々しく演じた。
鈴木のビロドーは複雑な心理描写を見せる。ポケットに手を入れる姿に本心を人に見せまいとする彼の心理が浮かび上がる。

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シモンとヴァリエの純愛を中心に描きながらも、彼らを取り巻く人間たちのドラマをより深く描き出しているのが今回の上演のポイントだ。
老シモンをSebastiani チームで演じるのは笠原浩夫。『DRACULA』『PHANTOM』など様々な作品で主演する笠原は輪郭のはっきりした芝居で、シモンの越し方を映し出す。
老ビロドー司教を演じるのは3度目となる船戸慎士。ビロドーの口には出さない心情がつぶさに伝わる演技が作品に奥行きを与えた。
そして、女性役の二人。シモンに恋する年配女性、リディアンヌの曽世海司とヴァリエの母、ティリー伯爵夫人の青木隆敏。男性でありながらここまで赤裸々に女性の心理を描写できるのは、女性である倉田の演出のたまものだろうか。
曽世は自分を愛さないシモンを愛してしまった苦しみからほとばしる暗い情念を、青木は現実を直視できず、嘘をつかないと生きていけない女性の哀しみを、それぞれ浮き彫りにする。
特に、最後の覚悟を決めたティリー伯爵夫人とヴァリエが「狐狩り」に行く場面は親と子という人間の根源の関係を深く、そして衝撃的に描いて、激しく心揺さぶられるシーンである。曽世、青木の二人がこれまで演じてきた女性役の経験が生きて、近年流行の「オール・メール」(男性キャストのみ)の舞台とは一線を画する「男性が演じる女性役」の新たなメルクマール(指標)となった。

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今回の『LILIES』上演はトリプルキャストでの上演となる。上記のSebastianiチームの他に、2012年入団の鈴木翔音と藤森陽太がシモンとヴァリエを演じるMarcellienチーム、そして仲原がシモンを演じ、ヴァリエ役が公演当日のキャスト発表となるErigoneチームがある。

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稽古もチームごとに別々に行い、異なる演出が見られるなど、それぞれのチームの特色が明確に出るトリプルキャストになっている。緊密に作り上げられた舞台からは、マイノリティとして虐げられた者に優しく寄り添う倉田の視線が感じられる。愛とは何か、そして、自分たちが持つ常識や規範が本当に正しいものなのかどうか……見終わった後に深い余韻を残す舞台だ。(文/大原 薫)

『LILIES』は東京 新宿・シアターサンモールにて、12月8日まで上演されます。

☆Information

スタジオライフ公演『LILIES』
2013年11月20日(水)~12月8日(日)
シアターサンモール(東京都新宿区新宿1-19-10 サンモールクレストB1)
※キャスト、公演スケジュールなどは、劇団公式HP、もしくはLILIES 公式HPをご覧ください。
【チケット取扱い】
チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード:431-646)
http://pia.jp/t/(パソコン・携帯共通)
ローソンチケット
0570-084-003(Lコード:33315)
0570-000-407 (オペレーター対応)
http://l-tike.com(パソコン・携帯共通)
店頭販売:ローソン店内Loppiで直接購入いただけます。
e+(イープラス)
http://eplus.jp (パソコン・携帯共通)
カンフェティ
http://www.confetti-web.com/
0120-240-540(平日10:00~18:00)※オペレーター対応
【チケット料金】
(全席指定・税込)
一般(前売・当日共)…5,600円
club LIFE会員(前売・当日共)…5,200円
学生料金(当日券のみ)…3,000円
※要学生証、ご本人様のみ有効
◆平日マチネ割(11/27(水)13:00、12/4(水)13:00のみ)
一般(前売・当日共)…4,600円
club LIFE会員(前売・当日共)…4,200円
劇団HP
http://www.studio-life.com/
LILIES 公式HP
http://www.studio-life.com/stage/lilies2013/

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